ヘッドの位置調整と、ベッドの相関。 基本的な話、3Dプリンタの使用ノウハウ1

3Dプリンタは、今では普通のプリンタのように手軽に使えています。

電源を入れ、データを入れ、スタートするだけ。

掃除や調整、糊塗りは一切していません。
ノウハウ(技術の肝)となる事項がいくつかわかって来たからです。


3Dプリンタの使用ノウハウ1

重要なことの一つは、ヘッドの位置決め。 そして、定置台(ベッド)の素材。

わかったこと。
・ヘッドの位置調整を毎回やる必要は無い。 逆に毎回やってはいけない。
 →調整するたびに微妙にズレが生ずる。 →シート、ヘッドを傷つける。

・ベッド(シート)に塗る糊は不要。 有害物である。
  →調整や定着が悪いときにやむを得ず塗るもの。 シートに凹凸を作る原因になる。
良好な市販品シートがある。


背景

当初、調整の意味がわからず、糊もなぜ塗るのか理解していませんでした。
印刷(造形)物を剥がしやすくするのかなという程度の認識でした。

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正常なヘッド間隔

ヘッドの調整は、一度行えば、ズレません。
ですので、調整(セッティング)ができれば、シートとヘッドの間が適度な隙間になります。
すなわち溶けたPLA(溶けた材料)がシート上に程よく塗りつけられます。
これが正常(良好)な状態。
隙間は、紙一枚が良いなどと言われています。
調整は一度でOK。 (毎回は不要という意味)


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糊を塗った場合

当初、糊は必ず塗らなければならないものと思っていました。
なぜ塗るのか、PLAがシートに乗らない(定着しない)場合に、シートとヘッドの間にある糊が、PLAをシートに留めるきっかけとなる。
一度定着すれば、以後はこれに釣られてPLAがシートに定着してゆく。

その意味からすると、最初から定着すれば良いわけです。
3Dプリンタの開発当初は、溶けたPLAが良くつかない(定着しない)素材があり、糊がこれを改善した。
しかし、今では良く定着する材料(シート)があるので、糊は不要。

糊を着けると、剥がす際にシートに残る分があり、これがでこぼこを作る。
その状況で、次回ヘッド調整すれば、ズレが生じます。
(凸凹面を基準にヘッド間隔が調整されてしまうため。)

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糊を塗ったときは、不要な糊のカスが多く出る。 これを金属ヘラでガシガシと剥がす。 丁寧に行ってもシートを傷つけます。


ヘッド調整と、シートの変形は相関する。

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購入直後のベッドシート(定着台に置く)

購入時に、透明の柔らかいシートがあり、これが糊不要にするシートなのだと考え、敷きました。
(説明書には記述がなく、追加改良部品だと理解)

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定着が良好ではなく、両面テープを貼って試しているところ。

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徐々に傷もついてきました。 傷は、すなわち定着台の凹凸そのものです。

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荷造りテープで試し、その上にさらに両面テープを貼り、さらに糊を塗る。
要するに試行錯誤していたころ。

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同じ部品を4個を作ろうとしたときの定着状態。
左の一つが定着せず、ヘッドが宙を舞った状況がわかる。
このときすでに、台(シート)が平面で無いことがわかる。
なぜなら、右側は定着しているので。

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シートに傷が目立つようになってきた。

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シートに凹凸がある場合にヘッド調整すると・・・

このときは、まだ頻繁にヘッド調整していました。
しかし、傷のあるシート、すなわち凹凸のあるシートでヘッド調整すれば、圧力センサは凸凹の凸部分で反応します。
つまり、早く反応するのでヘッド隙間は広くなります。 すると、また定着しない。
くそー と何度も調整しているうちに、センサのコネクタを接続することを忘れることもあります。
最悪です。 この際には、センサが反応しないのでヘッドがシートにめり込みます。

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圧力センサのゆがみ。

センサを付けたままのヘッドがシートにめり込むと、圧力センサが変形してしまいます。
なんとか歪みをもどして、再使用可能にはなりました。調整は慎重にせねば。

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シートを交換する

シートをここまで交換しなかったのは、入手できなかったから。

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ネットで、3Dプリンタに使えそうなシート材を調べる。
これの説明を見ると、5層にもなっている。 試してみよう。

入手 3M 3Dプリンタープラットフォームシート3099AB

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BIQUの円形シートに合わせて、丸く切る。

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両面粘着シートの剥離紙を剥がさず、おそるおそるヘッド調整。
もともとのベッド(プラットフォーム、定着プレート)には傷が無くてよかった。

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貼り付けて、使用テスト。

これが良好。 糊はいらない、適度に定着する。 剥がす際の固着度も適度。
貼り付ける際に、空気が残るので、これが凸凹を引き起こす恐れはあるものの、以前の凸凹とは比べようもない程度の高い精度。
最初から使わなかったので、その効果がよくわかります。

調整はこのときに行ったのみ。 以後半年近く未調整で現在に至る。

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機械的な調整は、精密な単位で調整できるようになっている。0.1mm単位で調整してみた。


まとめ。

・市販の専用定着シートで劇的な効果あり。

・ヘッドを頻繁に調整したり、糊を塗るのは、PLAの定着が悪いから。
すなわち、シートが平面で無いか、定着が悪い素材である証拠。

・一回、良好なプリントができたら、以後調整は禁忌。
ヘッドを変えたときや、シートを交換した場合のみにすべき。
(要するに定着が悪くなったときのみ実施)
機械的にずれる量は極めて少ない。

用語
ベッドシート(bed sheet)
定着シート(platform sheet)
定着台 (platform)

ヘッド (head)
PLA(ポリ乳酸)(Polylactic Acid)。生分解性ポリエステル。3Dプリンターの材料


p.s.(追記)

・良くある製品記事で、「もっと早く買っていれば、(あるいは入手していれば)よかった。」という下りがあります。
ですが、今回の場合、”3M 3Dプリンタープラットフォームシート3099AB” は、最初に買わなくて良かったと思います。
BIQU入手当時に買って使っていたら、ヘッド位置調整の意味も、糊の意味もわからずにいたと思います。
轍(過去の不具合)を踏んで、意味を理解できたことをありがたく感じています。